生うどんつちやブログ

鹿児島県鹿屋市にあるうどん屋です。

天皇家の食事と飲食店との共通点

『一物全体食』という言葉をご存知でしょうか。

一物全体。食材を丸ごと全て使用することを言います。

野菜は皮ごと、大根などの根菜は葉までしようすること、小魚は丸ごと一匹食すことなどを言います。

ぼくがこの言葉を知ったのは、天皇家の食事について書かれている文章を読んでのことです。

ご高齢で(ご病気でもあるのに)、今なお公務をこなされているのは、お体の健康管理に細心の注意を払っているからだそうです。

天皇家の食生活は、医食同源として食で健康を目指す“食養学”という考え方から日々用意されているようです。

メニューは基本的に朝は毎日、トーストやオートミールなど軽めの洋食で、昼食と夕食は和食と洋食が交互に出されるそうです。

昭和天皇時代に約5年にわたって宮内庁大膳課に勤め、現在は東京・江古田で『ビストロ サンジャック』を開いている工藤極氏は言います。

「陛下のことを“聖上”とお呼びしていました。私が大膳課に入って、まず言われたのが“聖上には糖分・脂分は控えるように”ということでした。素材が本来持っている淡い味を引き出すような調理を心がけました。それととにかく食材を使い切れということを口酸っぱく言われました。」

侍医から“1日1800kcal”という指示があり、市販の化学調味料は一切使わず、塩分も1日10g以内だったらしいです。

そしてその調理の基本とされたのが「一物全体食」という食材を余すことなく使い切るという考えだったそうです。

「それが栄養のバランスが偏らないようにする大膳課に伝わる伝統なんです。例えば、野菜の皮は、後でスープの具にしたり、葉物なら後日漬け物にします。鶏肉も、胸肉、もも肉は主菜に使い、手羽は後日、スープの具に。骨はスープのだしを取るのに使い、ぼんじり(尾)は軽く揚げてつけ合わせにするといったようにです」

また、

「“焦がすな”“捨てるな”“腐らすな”と非常にシンプルなことでした。つまり商品にならないものを作らない、余った食材は捨てる前に何か使えないか考えろ、在庫を把握して常に鮮度を見ろというものでした」

この話でもう一つぼくが思い出すのは、日本レストランシステムという会社の経営者が「カンブリア宮殿」というテレビ番組で話していたことです。

創業者であるその経営者は「例えば大根も、煮たり、すりおろしたり、そしてその葉っぱまで無駄なく使用する。こういったことを徹底しておこなう。」このようなことを話していました。

この日本レストランシステムという会社、実は日本で一番利益率が高い会社として有名です。

(どういった店舗を展開しているのかは、興味があるひとは調べてみてください。)

意外なところで共通点があっておもしろいです。

最後に。

「聖上はいつも腹八分目で終え、おかわりをされることは一度もありませんでした。食事に対してリクエストや好き嫌いを言われることはなく、出されたものだけを召し上がり、食後のお菓子以外は間食もしない。アルコールも一切口にされませんでした。ちなみに好物はバナナのベーコン巻きや鰻茶漬けでしたよ」(前出・工藤氏)